『鵼の碑』、日曜手前ぐらいに読み終わりました。大体2日半ぐらい?
百鬼夜行シリーズ独特の言い回しに慣れるまで時間かかりましたが、中盤以降パズルのピースが揃ってくると俄然楽しくなって、終盤は早く真相を知りたい・結末を見届けたい一心で駆け抜ける。
あんなにページ数あって小難しいのに、「読ませる力」ハンパないと思います。
作中リアルタイムでの人死にが出てないので、読みやすいのもあるかな。精神的負荷が軽めで、エログロも少ない。
そういうおどろおどろしい怪奇幻想譚を求めていた人からしたら、肩透かしだったかも? でも作中でも近代化が進んでいるんだと感じられて、それは過去色んな人たちが願ってやまなかったものでしたから、僕には希望だと感じられたな。
古い因習や無知による迫害で人が化け物になる悲しい話には、ならない。
それでも最後のシーンで、化け物に該当する人は現れた。時代と共に置いて行かれる優しくて寂しい彼ら、そして救えなかった人がいるから、読後は清々しくも切なさが残りました。
近代化の象徴が、新キャラの緑川さんだったと思います。
見かけは少女、実年齢は30代の合法ロリ女医さんでメインキャラの元・同級生って、それなんてラノベキャラ?
フラットな言葉遣いで、職業婦人として自立してて、良くも悪くも「すごい人」と見られがちな中禅寺さん・エノさんと対等に話せる。女性ではシリーズ初なんじゃないかと思います。
つよつよ男性キャラばかりでしたから、同じくらい強い女性が出てきたのは、個人的には嬉しい(´ `*)
いえ千鶴子さんや雪絵さんなど、メンタル強い奥様はおりましたけれど、「陰で支える」タイプが多くて……。恋愛要素絡まず、同じ舞台に立つ人がいてもいんじゃないかなって、絡新婦読んでた時から思ってた。
他の面々も、変わらない個性と魅力で物語を彩ってくれました。
今回登場してない準レギュラーや過去作の話題にも丁寧に触れてくれて、往年のファンとしては嬉しかったですね。そこだけでだいぶ満足度上がってる。
忘れたと思ってても、読んでいると普通に思い出すもので、特に「百鬼夜行 陽」や「百器徒然袋 風」で先行して出てきた今作の登場人物を覚えてたのが、自分でも驚きました。メイドの桜田さんとか、依頼人の御厨さんとか。
前作を読んだ時「次はさすがに堂島大佐(ラスボス)出てくるのでは…?」と予想してましたが、それは半分正解。敵を倒すバトル物ではないのですし、こんなものなのかな。
次作は『幽谷響(やまびこ)の家』。とても楽しみです!
出来たら早めに刊行して欲しいけど、「いつか」って思えるだけでいい。そう思うようになったのは、年を取ったから…なんでしょうかねぇ(笑)